数年前、私の診療室に、アメリカから、ある女性の患者さんが紹介でいらっしゃいました。歯に悩みを抱えて、精神的にも追い詰められる毎日で、ニューヨークの、幾つかの歯科に診てもらい、大学病院の歯科にも足を運び、解決の糸口を見出そうと、必死になられていたと仰っていました。 あるところでは、歯周病治療を行う必要がありますと言われ、違うところでは、歯内治療が必要と言われ、最後には全ての歯を抜いてインプラント治療にしなければなりませんと言われ、 その患者さんは、いったい何を信じていいのか分からなくなって、途方に暮れる毎日でした。そう、私に打ち明けてくれました。しかし、その患者さんに対して私が行った、デンタルインタビューで、患者さん自身も自分が何で悩み、不安要素は何であるかが、整理され、明らかになって行くことに、驚かれたようでした。
患者さんの過去に受けた歯科医療の経緯から、現在に至るまでの患者さん自身が感じていた、不安や悩みを全て私は聴きだして行きました。患者さんがアメリカで受けた歯科医療は、確かに1口腔単位とも言える医療でした。 しかし、ただ一つ、大きな欠陥を見つけるに至りました。患者さんが受けていた、予防に関わる医療に間違いがあったのです。それはメインテナンスでした。彼女が自分の歯に対して、とても大切にされていることが、痛いほど伝わって来ましたが、メインテナンスに対して、大きな誤解を招いていたのです。
メインテナンスとは歯のクリーニングであると、間違った認識をされていました。ニューヨークの歯科 に、定期的にメインテナンスに通っていたまでは良かったのですが、 セルフケアの習慣が全く無かったのです。 つまり、プラークコントロールを行う主体は自身である。 この大切な大切なことを ニューヨークの歯科では伝えられていませんでした。
いや、百歩譲って、伝えたと仮定したとしても、患者さんに対して、本当にそれが習慣化されているかどうか、医療機関として確認しなければならない最重要項目なのです。それが成されていなかったのでした。長い時間を治療に割き、多くの治療費用をかけても、治らないわけです。私は患者さんに、あなたが受けて来た、アメリカでの歯科治療は 確かに1口腔単位、ある意味、包括的医療と言えるかもしれません。
しかし、本当の包括的医療とは、そして本当の高度先進医療とは、予知性のある治療、予防が同時に行なわれる必要があるのです。 あなたにとって、本当に必要なのは予防についての新たな認識ですよ。
そう、私は患者さんに告げ、 それに対する、診断と治療計画を立てました。その効果は‥‥今まで何年もの間、彼女を悩ませて来た疾患は早やかに解決して行きました。アメリカで、全ての歯を抜かなければならないと診断された、彼女の歯を私は一本も抜かずに治療を終えたのでした。精神まで病んでいた患者さんの表情は、アメリカへの帰国時にはとっても明るくなりました。今でも、アメリカから、 私の診療室にメインテナンスに通われています。これはデンタルインタビューにて、「セルフケア=0のコンセプト」に向かい、患者さんと共に明確な、真の原因にたどり着くことが出来たからに 他なりません。これがデンタルインタビューの医療への架け橋の成果です。
医療法人 聖美会
三浦としなが歯科クリニック 北海道帯広市西21条南3丁目25-5 ☎0155-36-8000
※日曜日と祝日は休診です。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
---|---|---|---|---|---|---|
午前9:30~午後1:00 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
午後2:30~午後6:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |